オーダーメイドの種類による違い

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダー以外にも、パターンメイド、パーソナルオーダー、サイズオーダー、セミビスポーク、メジャーメイド、メイドトゥメジャー、ス・ミズーラ、コンピューターオーダー、ニューオーダー、フルビスポーク、カスタムオーダーなど、 オーダーメイドにはさまざまな呼び名があります。これらの中には欧米では使われない和製英語も含まれています。いずれも特に業界で決まった定義があるわけではなく、各店が他店と差別化するためにいろいろな呼び方をしているのだけですので、ここではそれらの違いについて詳しくご説明いたします。

オーダーの種類

まず大きく大別されるのが、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーの3種類です。その他のものはだいたいこのどれかに分けることができますので、この3つを理解していれば、他の全ても理解することができます。

一般的な分け方

パターン
オーダー
パターンメイド、パーソナルオーダー、サイズオーダー ス・ミズーラ、メジャーメイド、メイドトゥメジャー、メイドトゥオーダー(これらはパターン、イージーの両方で使われる場合があります)
イージー
オーダー
イージーメイド、コンピューターオーダー、ニューオーダー、セミビスポーク
フル
オーダー
フルビスポーク、カスタムオーダー

パターンオーダー・イージーオーダー・フルオーダーの違い

パターン・イージー・フルの違いは、ひとことで言ってしまえば採寸の違い。もう少し専門的に言えば型紙の自由度の違いです。パターンオーダーはサイズを合わせることしかできませんが、イージーオーダー以上であれば体型補正もできるようになります。

オーダースーツとはすなわち体に合わせてスーツを作ることですが、これは”サイズを合わせる”ということだけではありません。パターンオーダーの場合サイズを合わせることしかできませんが、イージーオーダー以上であればサイズ以外に”体型補正”もできるようになります。例えば同じ肩巾45cmでも、イカリ肩の人もいれば撫で肩の人もいますし、右肩だけ下がっている人もいれば、首が太い人、前肩の人、猫背の人など様々な肩があります。イージーオーダー以上であればこれらの体型補正に対応できる反面、パターンオーダーでは1種類の(標準的な)肩巾45cmしか作ることができません。フルオーダーでは更に細かく体型補正ができるようになるうえ、さらにクセ取りというアイロンワークが加わることによりますます体にフィットする洋服が出来上がります。

また、パターンオーダーはCAMと呼ばれる自動裁断機を使い型紙作成を経ず生地を裁断するため、あらかじめ決められた型紙の長さを微調整する程度しか対応できず、型紙の自由度が最も低くデザインも決められたものしか作ることがきません。イージーオーダーはベースとなる型紙をもとにCADと呼ばれるコンピューターで型紙の各ポイントを動かすことができ、細かな体型補正をかけることができます。どこまでできるかは(どこまで動かせるかは)お店によって異なります。さらにお店によっては部分的に手書きによる型紙補正もでき、型紙の自由度が更に高くなりデザインも幅広く対応できるようになります。フルオーダーは、手書きによる型紙作成を基本としますので型紙の自由度が最も高く体によりフィットさせることができ、デザインの制約もほとんど無くなります。

某大手オンラインショッピングサイトでは、サイズを合わせるだけでフルオーダーと謳っているところもあるようですが、これはいかにも乱暴すぎると当社では考えています。少なくとも体型補正の無いオーダースーツはフルオーダーとは呼べないでしょう。また、最近では独立してオーダースーツ専門店を始める人も増えていますが、パターンオーダー店で販売やフィッティングを数年経験しただけの人の場合、内容的にはパターンオーダーと同等レベルの採寸しかできないでしょう。これはサイジングと違い体型補正は簡単に習得できるようなスキルではないためです。まして未経験の人が見様見真似で始めた場合は、たとえイージーオーダーやフルオーダー店と謳っていたとしても、実質的にはパターンオーダー以外の採寸はほとんど無理でしょう。

パターンオーダーのメリット・デメリット

パターンオーダーは型紙の自由度が低くデザインの選択肢も少ないというデメリットがある反面、サンプルを試着するためオーダーメイド初心者にとってはできあがりがイメージしやすく、既製品を買い慣れている人には分かりやすいというメリットがあります。また、型紙の自由度が低いということは、採寸者の技量に依存する余地があまりなく、誰でも簡単に採寸できるため、特にアルバイトや契約社員など大勢の販売員を必要とするチェーン店にとっては、導入しやすいオーダー方法と言えます。

また、多くのインターナショナル ブランドも同様の理由(採寸者の技量)によりパターンオーダーを採用しています。ブランドのハウススタイル(例えばアルマーニならアルマーニスタイル、ラルフローレンならラルフローレンスタイル)が好きな人にとっては、既製品よりはサイズが自由に選べる(例えば上着はサイズ50でパンツは48など)という意味ではメリットがあるものの、あくまでも既製品を補完する位置付けのため本格的なフィッティングは望めません。

パターンオーダーの中には、限りなく既製品に近い(ほとんど補正のできない)ものから少しだけ型紙補正ができるものまでいくつかの種類があります。しかし補正ができるほど採寸者の技量に依存する余地が増えることと、補正するほどハウススタイルから離れていってしまうため、多くの店舗ではあまり補正できない(させない)ようにしています。まったく補正できない(上下のサイズをバラバラに選べるだけ)ものをサイズオーダーと呼ぶ場合もあります。

パターンオーダーの仕立て(縫製仕様)

一般的に価格を重視するパターンオーダーには最も簡易的な仕立てが採用されます。外見からわからない芯地その他の副資材をコストダウンすることにより縫製コストを下げるように設計されています(参考:仕立てによる芯地の違い)。ブランド・ショップのパターンオーダー品の場合、外から見える部分(お台場やステッチなど)のみ高級仕様にして仕立てている場合もあります。また、マシンメイドに簡易的な仮縫いを付けて高級に見せかけるお店もありますが、パターンオーダーの仮縫いは演出的意味合いが強くあまり意味が無いと考えておりますので、当店ではコストパフォーマンスを重視しパターンオーダーでの仮縫いはおつけいたしておりません。

ただし極稀にではありますが、パターンオーダー(もしくは既成品)にも関わらず最高級のハンドメイド仕立てを採用しているブランドもあります。これらは例外中の例外ともいえる仕様で、主にブリオーニやキートンなど一着50~100万円を超えるような超高級ブランドに限られ、一般的なものではありません。採寸自体はパターンオーダーのためフィット感は劣りますが、ハンドメイドの場合クセ取りと呼ばれるアイロンワークが可能なため、通常のパターンオーダーとは着心地が異なります。

パターンオーダーの価格

既成品工場でも作れるパターンオーダーは、もっとも低コストであることがメリットですので、一般的にオーダーチェーン店が採用するパターンオーダーの場合は安価な価格設定となっています。ただしブランド・ショップが採用するパターンオーダーの場合、価格は単純に生地代や仕立代といったコストだけでなくブランド料も含まれるため、廉価仕立てのパターンオーダーであっても10万円以上するのが相場です。そのためブランド・ショップが採用するパターンオーダーの場合、高価なもの=高価な仕立てとは限りません。ゼニア直営店が採用しているのも(不定期開催されるトランクショーを除き)パターンオーダーです。

フルオーダーのメリット・デメリット

フルオーダーのメリットは何と言っても型紙の自由度にあります。手書きで型紙を書き起こすため理論的にはどんなデザインでも作ることができます。人間の体は十人十色で千差万別。同じA5サイズの人でも猫背の人もいれば鳩胸の人も、なで肩もあればいかり肩もありますし、手足の長さや太さが左右違う人もいます。これらの体型的なクセを細かく採寸し作られた服は、当然フィット具合が他のオーダーとは断然に違ってきます。反面、出来上がりサンプルを試着するといった事ができず、オーダー初心者にとってはわかりにくといったデメリットもあります。

またフルオーダーは、型紙の自由度が高いということはフィッター(採寸者)およびカッター(裁断者)の技術やセンスに依存する部分が非常に多く、技量によって出来栄えが大きく左右されるという事が挙げられます。確かにフルオーダーは理論的には何でも作ることができるのですが、実際はフィッター(およびカッター)が知らない形は作ることができません。最新のトレンドスタイルを常に勉強しているテーラーであれば現代的なスタイルの服も作ることができますが、高齢化とともにその意力も失われていくため、昔ながらのテーラーが作る服は古臭いという見方をされる場合もあります。(ただしロンドンの有力テーラーのように誰もが認める普遍的なハウススタイルを確立していれトレンドとは無縁のため問題になりません)

さらにフルオーダーは、体型にフィットさせすぎるあまり、お腹が出ている人はお腹が出ているなりの服が出来上がってしまうという欠点があります。モデル体型の人であれば問題ありませんが、世の中のほとんどの人はそうではありません。現代のオーダーは、まず自分の好みのスタイル(例えばイタリアンやアメリカンなど)があり、自分の体型はさておきできるだけそのスタイルの服が欲しいというニーズがあります。フィッターにその知識があり、あえて体型に合わせない部分も残しつつできるだけ理想のスタイルに近づけられるかどうかというのも、フィッターの技量にかかっています。

フルオーダーの仕立て(縫製仕様)

一般的に価格よりも品質を重視するフルオーダーには、手縫いを多用するハンドメイド仕立てが採用されます。ハンドメイドで作られる服の特徴は”丸い”という点があげられます。人間の体は直線の部分が一箇所もなく、生地を曲げたりクセ取りをしながら縫われた服は、丸い体に沿うようにフィットします。

しかし最近ではイージーオーダーに仮縫いを付けただけのマシンメイドのフルオーダーという低価格を謳ったものも存在します。仮縫いの有る無しがフルオーダーかどうかの境目であると説明しているお店も多いようですが、実際はイージーオーダーにつける仮縫いは簡易式なものであまり意味がありませんので、当店のフルオーダーは、コストは上がりますがハンドメイドを多用した本格的なフルオーダーを採用しています。

フルオーダーの価格

本格的なフルオーダーの場合、価格は仕立てに比例して高価になります。使用する生地によっても価格は大きく変わりますが、少なくともスーツ1着10万円以下ということはあまり考えられません(※)。ただし、先にも述べたイージーオーダー(マシンメイド)に仮縫いを付けただけでフルオーダーと謳っているお店の場合、もっと安価な価格設定をしていることもあります。逆に、マシンメイドであるにもかかわらずフルオーダーということで高価な価格設定をしているお店もありますので、そういったお店には注意したほうがよいでしょう。
※ 中国で縫い子を大量に雇いハンドメイドさせている場合10万円以下でも可能かもしれません。

イージーオーダーのメリット・デメリット

イージーオーダーは、パターンオーダーとフルオーダーのいいとこ取りをしたハイブリッド方法です。ゲージ服と呼ばれるサイズサンプルを試着していただく事で、パターンオーダーのようにできあがりがイメージしやすく、さらにゲージ服を使ってピン留めをしながら細かな体型補正も行えるため、より体型にフィットしたスーツを作る事ができます。また、複数のデザインパターンを用意することによりパターンオーダーよりも幅広いスタイルに対応でき、さらにお店によっては部分的に手書きによる型紙補正や手裁断も行えるところがあり、コンピューターだけでは対応できないような体型補正や特殊デザインにも対応できるようになります。

イージーオーダーには、限りなくパターンオーダーに近い(型紙の制約が多い)ものから、限りなくフルオーダーに近い(型紙の制約が少ない)ものまで非常にたくさんの種類があります。それゆえお店独自にいろんな呼び名(メジャーメイド、ス・ミズーラ、コンピューターオーダー、ニューオーダーなど)を付けて呼んでいるわけですが、当店ではシンプルにわかりやすくイージーオーダーと呼んでいます。当店のイージーオーダーは、部分的な手書きによる型紙補正も手裁断も可能となっており、限りになくフルオーダーに近いイージーオーダーを採用しています。

イージーオーダーのデメリットは、フルオーダー同様にフィッターの技量に出来栄えが左右されやすいという点です。特に体型補正はきちんと型紙の動きを理解し補正を加えないと、せっかく体型に合わせたはずが逆にとんでもないスーツになってしまう場合があります。最近ではチェーン店でパターンオーダーの販売を経験した人が独立してイージーオーダーの専門店をはじめるといった例も増えていますが、ひどい服ができあがってしまったという話もよく聞きますし、実際にどうにもならなくなって当店に修理を持ち込まれる方もいらっしゃいます。これはパターンオーダーとは根本的に採寸が異なるためで、イージーオーダーでスーツをオーダーする場合は、きちんと型紙を理解した経験のあるお店で注文するほうが良いでしょう。

またもう一つの失敗例として、お客様の完成イメージとフィッターの完成イメージが乖離してしまう場合があげられます。当店ではできるだけこういった事態を防ぐために、お客様との会話を重視いたしております。フィッターの頭の中には何十種類というスタイルやデザインがインプットされていますが、そのどれがお客様の求める物なのかを突き止めるために、ご年齢やご職業、用途や使用頻度など、いろんな角度からお客様の好みをお聞きするようにいたしております。フィッターの技量は採寸技術だけでなく、こうした話術も含まれると当店では考えています。

イージーオーダーの仕立て(縫製仕様)

イージーオーダーの仕立ては、お店によって大きく違いがあります。接着芯など限りなくパターンオーダーに近い簡易式な仕立てのものもあれば、本格的な総毛芯(フル毛芯)を使いフルオーダーに近いような仕立てのものも存在します。当店では、総毛芯を使用したブラックラベル仕立ての他に、中間の半毛芯(ハーフ毛芯)と呼ばれる芯地を使用しコストパフォーマンスに優れたホワイトラベル仕立てもご用意しています。お客様のニーズとご予算に合わせてどちらの仕立てもお選びいただけます。(参考:仕立てによる芯地の違い

イージーオーダーの価格

イージーオーダーの価格は、一般的にパターンオーダーに少しプラスしたくらいの価格帯となっています。お店にもよりますが、場合によってはフルオーダーに近い採寸や仕立ても可能なため、コストパフォーマンスに優れ、当店でも一番人気のお仕立て方法です。コストパフォーマンスに優れる反面、採寸技術を要するためチェーン店などには導入しにくく(あるいは導入したとしても出来栄えにバラツキが多く)、専門店か百貨店でしか取り扱いがないのが難点です。

マシンメイドとハンドメイドの違い

マシンメイドとは機械縫製のことでつまりミシンを使って縫い上げることを言い、ハンドメイドとは主要な部分を手縫いで仕上げる方法を言います。全てを手で縫い上げるものはフルハンドメイドと言い、中でも一人で全てを縫い上げるものを丸縫いと呼び最もコストのかかる方法となります。

マシンメイドのメリットは、ハンドメイドに比べてコストが安くなることと、納期が短くなることです。使用する芯地やパッド、裏地やボタンといった副資材や、縫製仕様のランクにより、1着1万円台で販売できるようなものから、10万円以上するようなものまで幅広い種類があります。

マシンメイドとハンドメイドの大きな違いは、平面で縫われるか曲面で縫われるかという違いがあります。テーブルの上に生地を置いて縫われるミシン縫製の場合、表も裏も同じ寸法で縫われるのに対し、手で縫う場合は内外に寸法差を作りながら縫ったり、アイロンでクセ取りをして生地を曲げてから縫うことができるため仕上がりを丸くすることができます。人間の体は曲線でできており、直線の部分は一箇所もありませんので、丸く縫われた服ほど体によりフィットしやすくなります。

ただし、ハンドメイドで作られた服を初めて見た人(既製品を見慣れた人)は、ハンガーに掛けられた服を見て「なんかヨレヨレとしてピシッとしていないな」と思うかもしれません。これはハンガーに掛けた場合、平面的に縫われたマシンメイドの方が綺麗に収まるのためです。丸く縫われたハンドメイドは人が着て綺麗になるように縫われているため、より平面なハンガーに掛けた場合丸まってしまうからです。

また、「真っ直ぐな運針やピッチの揃った綺麗な運針こそ良い仕立て」という価値観はあくまでもマシンメイドのものであり、ハンドメイドには当てはまりません。どんなに腕のいい職人であっても機械の正確性には勝てないからです。その代わりミシンでは到底できないような曲線(曲面)を織り交ぜた縫製技術や、細かで繊細なボタンホールなどは工藝品とも呼べる美しさがあります。

リングウッドのオーダーメイド

リングウッドのオーダーメイドは、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーすべてのオーダーに対応しています。どのオーダーもコストパフォーマンスを重視しており、価格以上の価値をご提供できるよう、それぞれのランクにおいて最良の縫製仕様と副資材をチョイスしております。

当店ではそれぞれの縫製仕様につきまして全てお客様に公表いたしております。詳細が気になる方は当店のラベルによる縫製の違いスーツ縫製仕様比較表も是非一度ご覧ください。(ただし公表している仕様は標準仕様のみとなります。イレギュラーな素材や生地、デザインの場合、例外的に仕様が異なってくる場合があります)